子どもに伝わる叱り方(11月号)

子どもへの叱り方には、色々あるかと思います。その中で、園や学校で用いられる方法をご紹介します。イギリスのバジル・バーンステインという社会学者の『制限コードと精密コード』という研究です。
制限コードの具体例ですが、
母「しっかりつかまってなさいよ!」
子「なんで?」
母「いいから、しっかりつかまってなさい!」
子「どうして?」
母「しっかりつかまってなさいって言っているでしょ!わかんないの?」

子どもの『なぜ』という問いに答えず、『つかまってなさい!』ということだけを伝えているのが『制限コード』の典型的なコミュニケーションです。これだと理由が理解できず、言われたことだけやるような応用が利かない子どもに育ってしまう可能性が高いといわれています。

一方、『精密コード』の対話は、以下のようになります。
母「危ないから、しっかりつかまるようにしなさい!」
子「なんで?」
母「この電車は急に揺れるの。だから、つかまってないと倒れちゃうわよ」
子「つかまっていれば、倒れないの?」
母「つかまっていれば、大丈夫よ」
子「わかった!」

このように、精密コードでは理由を具体的に教えることがポイントになってきます。子どもでも理由をしっかりと伝えれば、つかまる必要があることを理解し、その積み重ねで子どもなりに考える力が養われるのです。

幼稚園では、時間も手間もかかりますが精密コードでいろいろな物事を教えています。家庭でも精密コードによるコミュニケーションがとれれば教育機関との連動性は高まり、子どもが園や学校に適応しやすくなります。ですから、「叱る」というよりも「諭す」ように、発達段階に合わせて子どもが納得していける形で伝えることが重要だといえます。(副園長:佐藤毅佳)