子どもが失敗を恐れずに挑戦するには?(3月号)

 できなかったことができるようになるというのは勉強でもスポーツでも大事なことです。しかし現実には自分から未知の新しいことへ積極的に挑戦する子どもは少数派です。挑戦をためらう理由の1つには「失敗したらどうしよう」という不安があります。周囲の大人が子どもの失敗を過剰に恐れ先回りして原因を取り除くことで、かえって不安が増幅し「失敗したくない」「失敗は悪いこと」という気持ちが強くなり、それが挑戦を妨げてしまうのです。

 失敗を「悪」と大人が捉えているうちは子どもたちが思い切って挑戦できる環境を整えているとはいえません。大人が先回りしてつまずく要因を取り除いてきた子どもは、大きな失敗の経験がなく対処の方法がわからないため将来失敗の痛みに耐えられずに心が折れやすくなります。

 そこで子どもが自ら進んで挑戦をするかどうかに関わるのが自己肯定感です。ありのままの自分をまるごと認められる気持ちを指す自己肯定感が育まれると自信に繋がり「やってみよう」という気持ちの原動力になります。自己肯定感の高い子は、自信に満ちあふれて何事にも積極的に取り組めます。

 自己肯定感を阻む大人の言動に「どうしてできないの?」「あーあ」、などのため息交じりの否定的な反応は子どもから挑戦する力を奪います。結果だけを評価された子どもは次第に臆病になり「失敗して怒られるくらいなら」と、挑戦することをやめてしまいます。失敗に目を向けるよりも、その過程にある挑戦を評価すると子どもは「がんばった自分」を認められたことで心が満たされます。

 生きていくうえで壁にぶつかったとき、それを乗り越えるためには挑戦する力が必要になります。その時点での自分の知識や経験を生かし周りと協力して乗り越える力は、成長するために必要な能力です。1つの失敗を引きずらずに挑戦し続ける姿勢を持てるようにしてあげましょう。

(副園長:佐藤 毅佳)