脳の成長を止めないために(4月号)

 幼少期からスマホ触っていると、触っていない人と比べて脳の成長に差が出ます。スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツが、子どもがiPadなどに触れないよう厳しく管理していたのは有名です。ITに精通している人ほど負の側面の影響の大きさをより認識していたからです。インスタグラムやFacebookなどのSNSは意図的に快感や多幸感を得る物質のドーパミンの分泌が促され依存性が高くなるようにアプリを設計しているそうです。フランス国立保健医学研究所の神経科学者は「薬物中毒に見られる所見と同じシステムだ」とドーパミンの分泌とスマホ依存の関係を説明します。

 5~18歳を対象にスマホの使用頻度でグループ分けをして3年間、脳の発達の様子をMRIで観察したところ観察開始時にはグループ間で脳の体積に差はなかったのが3年後のMRI検査では、ほぼ毎日スマホを使う子どもたちは脳の発達がほとんど止まっていたのです。大脳は言語・思考・感情・記憶・感覚をつかさどる部分ですから、成長しないと感情をコントロールできず不安定でキレやすくなります。脳は20歳頃で成長しなくなるので成長機会を奪うと取り返しがつきません。

 しかし、メディアはスマホ、タブレット推しの報道ばかりです。CMの大手スポンサーはソフトバンク、au、docomoなどですから製品を売るため批判的な内容の番組は当然作れません。学習タブレットの効果も否定的なデータが上がっていても、学習塾で独自タブレットを作ったところは元をとるまで売るためによさそうなことしか言いません。企業の社長が颯爽とタブレットを使う様子をみせますが、それは脳の成長が止まった人間が道具として使っているだけで子どもの時から触る理由にはなりません。

 スマホを取り上げた際に、癇癪をおこす、情緒不安定になる、触らないと落ち着かない、といった様子を見せたら要注意です。これらの症状は薬物中毒の患者となんら変わりないからです。そうならないように、大人も含めてスマホ習慣を見直してみて下さい。

(副園長:佐藤 毅佳)