幼児の運動能力低下が招くリスクとして、将来にわたり病気や怪我をしやすくなります。また、幼児期に多くの運動を経験した人は大人になっても自発的に体を動かしやすくなり精神的にも安定するという研究データもあります。
運動能力が低下している原因は、外遊びの減少、不規則な生活習慣などが主なものとして挙げられます。都市化が進み子どもたちが外遊びするために必要な、一緒に遊ぶ「仲間」、自由になる「時間」、そして元気に走り回っても差し支えのない物理的な「空間」、といった3つの「間」が急減しています。
運動にかかわる神経伝達システムは6歳頃までに大人の約8割程度に発達すると言われています。つまり、幼児期に「走る、跳ぶ、転がる、ぶら下がる」といった基礎的な動作をどれくらい経験したかによって、その後の人生における運動能力が変わってくるということです。日本スポーツ協会によるガイドラインでは、子どもに最低限必要とされる身体活動量はスポーツをする時間だけでなく、体を動かす遊びや階段の上り下り、掃除の手伝いなど日常生活における活動の全てを含む「1日60分以上」と定められています。
また、子どもが運動をする時は、「楽しみながらできるか」も重要な視点です。幼児期に「体を動かすことは楽しい」という感覚を経験すると生涯にわたり運動への抵抗感を減らせます。大切なのは運動が苦手な子でも楽しめるように工夫をこらすこと。そして、大人も一緒に楽しむことです。
生涯にわたり影響を与える幼児期の運動能力の低下を防ぐ工夫を大人も一緒に楽しみながら、できることから始めていきましょう。
(副園長:佐藤 毅佳)