そのスマホは今見なければいけないのか?(9月号)

 生まれたときからデジタル機器が生活の中にある世代の子どもたちには、明らかな異変が起こり始めています。スマホを使用すると脳の知的中枢である前頭前野の活動が抑制されることが分かっています。前頭前野が働かないと、思考やコミュニケーションといった人間らしい能力は身につきません。前頭前野は、感覚、視野、運動にかかわる他の脳の部位よりゆっくり発達します。そのため、生まれてから青年期までの経験や生活習慣によって発達に影響が出やすくなります。幼いころからスマホに触れた結果、自分の感情をうまく表現できず、他人の感情も上手く理解できないという子どもたちが急増しているのです。脳の吸収がいいから幼児期の早期教育を考えるのに、こうした悪影響も効率よく吸収してしまうと考えないのは不思議ですね。

 続いて、親が子どもの前でスマホを触る問題点について触れていきます。親がスマホばかり見ていると子どもは「自分はスマホよりも関心を向けるべき対象ではないのか…」といった感情を自然と抱くようになり、自尊心が欠如します。

 他にも、子どもにとってのコミュニケーションが不足してしまうのも大きな問題です。例えば子どもがアイスを食べて「おいしいね!!」と親に投げかけたとします。スマホをいじりながら「そうだね」と軽く相槌をうつのか、子どもと目を合わせて「美味しいね!」と微笑み返すのか。この簡単な例でも、子どもへの情報量が大きく違うことがわかります。

 NHKの『チコちゃんに叱られる』で紹介された「わが子と生涯で一緒に過ごす時間」によると、18歳までの間一緒に生活すると想定した場合、母親:約7年6ヶ月(約65,700時間)父親:約3年4ヶ月(約29,200時間)となり、小学校卒業時にはともに過ごせる時間のうちの約55%を消費しているそうです。そんな子どもとの貴重な時間を使うほど、大切で1分1秒を争うような情報がスマホにあるか考えてみてください。

(副園長:佐藤毅佳)