箸を持つのが初めての小さい子どもでも上手に持つことができ、スムーズに食べ物をつかんで口に運ぶことができるので、エジソン箸がよく使われています。しかし、エジソン箸を使うことで普通の2本の箸が使えるようになると勘違いしていることが多いので注意が必要です。
エジソン箸は、子どもにごはんを自分で食べたいという自立心を芽生えさせ、「自分でできた」という達成感や自己肯定感を上げるための道具です。エジソン箸はサポートがガチガチで、不安定な2本の箸を持つためのコツが身につきません。手を閉じたり開いたりするだけで箸が勝手に動いてくれるので、子どもはいつまで経っても正しい持ち方を覚えずにエジソン箸の持ち方の癖がつきエジソン箸しか使えなくなってしまいます。バラバラの2本の箸をしっかり持って先端でつまむ作業を覚えるには、やはりバラバラでないと意味がありません。
また、箸を上手に使うには一緒に食事をする家族の声掛けも大切です。エジソン箸を使えば大人が気にかけないでも子どもは食事をすすめられるかもしれません。しかし、食事の時に「お母さん(お父さん)の箸には輪っかがついていないんだよ。○○ちゃんも同じ箸を使ってみる?」というような声掛けをすることで普通の箸へ挑戦する意欲に繋がります。世の中には、使うだけで上達するような都合のいいものはありません。使い方しだいで上達を早める有効な道具にもなれば、逆に正しい使い方から遠ざかってしまうものにもなります。
エジソン箸は最初の箸に興味を持たせるときのきっかけに使っても、幼稚園でご飯を自分で食べるようになるくらいの時期には普通の箸も並行して使っていく方が良いと言えるでしょう。そして、子どもとの食事で普通の箸を自分から使いたくなるような会話も楽しんでいきましょう。
(副園長:佐藤毅佳)