本当に子どもに向いている動画(7月号)

 皆さんは子どもに見せる動画を選んでいますか?世の中には子ども向けのようで教育的には何の役にも立っていないものが多いのが現状です。本当の意味で子どもに良い動画とは、親子で一緒になって動画の内容をなぞって実際にやるものをさします。

 基本的に子ども一人で夢中になって「眺めているだけ」になっている動画はいけません。かわいらしいキャラクターを使い、激しい動作や変化の多い映像で視線をくぎ付けにする動画は「子どもっぽい」だけで子どもにとって良い動画とは言えません。ヒーローものの動画は動作やセリフをマネする点は悪くないように思えますが、近年の作品は物語やセリフを子どもが参考にマネしていいものか疑問があります。こうした動画を視聴する際には大人が特に気を付け、乱暴なセリフや動作をマネた時にその意味についてその都度伝えていく必要があります。見せっぱなしにしておくと意味も分からず本人がかっこいいと思う言葉や動作をマネして、乱暴な言動が多い子と思われてしまうかもしれません。

 良い動画・悪い動画の違いは視聴時に思考が働いているかどうかです。夢中になって静かに見ていることは判断基準になりません。むしろ、他が目に入らないほど画面にのめり込んでいるのは思考を放棄している状態で脳の活動は止まっています。動画視聴中に脳の前頭前野の血流が大きく低下し、ドーパミン(快楽物質)が分泌されることは医学的にわかっています。こうしたことから動画の視聴時間が一定時間以下になるよう医学会が動画視聴の参考時間として提言しているものは、脳内麻薬依存になりにくい回復が見込める時間を設定しているといえます。

 夢中になって眺めながらその動作を参考に体を動かしたり、マネをして工作をしたりするものが「子ども向けの動画」です。子どもが熱中して静かになってくれるからと見せる動画を間違えると動画中毒者になってしまいます。動画を視聴させる時には子どもの成長を考えた動画選びをしましょう。

副園長:佐藤毅佳