学校に行かせなくてもいい?(5月号)

 近年学校に行かせなくてもいいと目にするようになりました。結論としては「必ずしも学校に行かせなくてもいい」です。ただし、憲法第26条に「教育の義務」があります。これは子どもが果たす義務ではなく、親が子どもに「教育を受けさせる義務」のことです。つまり、親が何らかの方法で義務教育と同等の教育を受けることができる環境を整えれば、必ずしも学校に行く必要はないと言えます。逆に、家庭で起床就寝の生活サイクル、食事のルールや栄養の管理、国算社理英といった義務教育レベルの勉学、適度な運動や他者とのかかわりで社会性を育む、といった基本的な教育を行うことができなければ憲法に違反していると言えます。

 また、子どもには「教育を受ける権利」があるのですが、この権利を放棄したとしても子どもが罰せられることはありません。小学生YouTuber自身が小学校の不登校に続き中学校へも行かないことがありましたが、この場合は本人が「教育を受ける権利を放棄した」となり、この子どもが違憲、違法になることはありません。

 しかし、保護者には前述の「教育を受けさせる義務」があり、子どもを学校に行かせようとしない親には罰則があります。学校教育法で「教育委員会から保護者に対し、子どもが通学するよう督促すること」とあり、さらに悪質と判断された場合罰金が科されることもあります。そのため、いじめや病気などの正当な理由がある場合を除き、子どもが学校に行かなかった場合は罰金が科される可能性があります。実際過去に、ネットアイドルとして芸能活動をしていた子を通学させなかった母親が書類送検されたという事例があります。

 子どもの「学校に行きたくない」に応える場合、適切な環境を用意しなくてはいけません。学校と同等の教育や体験ができる環境を家庭で実現できないと、前述の罰則対象に成りえます。みなさんも「教育の義務」、子どもの「教育を受ける権利」について考えてみてください。

副園長:佐藤 毅佳