近年教育の現場では学習だけではなく、体験も重要であるといわれるようになりました。文部科学省によると、体験活動を積極的に行うことで子どもには下記の効果があると考えられると公表しています。
『現実の世界や生活などへの興味・関心・意欲の向上』『問題発見や問題解決能力の育成』『思考や理解の基盤づくり』『教科等の「知」の総合化と実践化』『自己との出会いと成就感や自尊感情の獲得』『社会性や共に生きる力の育成』『豊かな人間性や価値観の形成』『基礎的な体力や心身の健康の保持増進』
また、子どもの頃に行った体験活動は非認知能力を伸ばすとされています。非認知能力とは、学習意欲、労働意欲、努力や忍耐といったものを指し、IQなどの認知能力に相対した概念のことです。進学や賃金水準の決定に寄与したり、認知能力を伸ばしたりするのにも重要な役割を果たすことが研究で明らかになっています。
例えば、音楽やスポーツなどをする子どもの方が、勉強に対して自主性や意欲を見せることが多く、こうしたこともこの非認知能力が関わっているとされています。いわゆる文武両道を実践することで「体験」によって非認知能力が刺激され、認知能力に対してポジティブな影響を与えていると考えられます。
逆に体験活動が少ないと、創意工夫を持って物事に取り組んだり、物事に興味を抱く感情自体が欠落する可能性や、幅広い年齢層の人たちと交流する機会がないことで集団生活にうまく適応できないだけではなく、自分を表現するのが苦手になったり、協調性を適切に養うことができなくなったりするといわれています。
「○○をやってみたい」と子どもが言った時に「何かを買ってあげるから我慢しなさいではなく、時間や手間がかかっても子どもの将来への投資と思って実際に体験する機会を設けてあげて下さい。
副園長:佐藤毅佳