熱中症の『対策に』気を付けよう(6月号)

 気温がとても高くなり、熱中症が心配な時期になってきました。

 代表的な対策にスポーツドリンクや経口補水液があげられます。ですが、スポーツドリンクは糖分が多く含まれていて飲みすぎればあっという間に糖尿病です。ただし、この糖分は味付けのためではなく電解質をすぐに小腸で吸収するために配合されており、無糖のものは熱中症対策として本末転倒です。経口補水液は、糖分は少ないですが塩分が多いため高血圧や心不全など慢性疾患があると、むしろそれらの悪化の引き金になります。そうした傾向の人は間違った飲み方をするなら経口補水液を使用しないほうがいいとまで言われています。ですからこうした飲み物を熱中症予防に「日常的な飲み物として」摂ることは基本的に避けましょう。

 水分補給で意外と重要なのは食事から摂る水分です。特に夏場に食事をおろそかにすると熱中症のリスクが高まります。健康な人なら普段の食事に、水や麦茶などを中心に適宜ナトリウム(塩分)を摂取すれば問題ありません。この塩分も一般的に日本人はWHOの基準からみて取りすぎなので熱中症には水分補給に気を付けていれば、実はそれほど問題ありません。

 この他に、体温を下げない冷感グッズは熱中症リスクを上げるので注意が必要です。いわゆる「ひんやり感じる」グッズ全般は、体の表面の神経を冷たいと錯覚させるだけで血液の温度を下げる役には立たない物が多いです。そもそも熱中症は脳がオーバーヒートすることなので、脳が冷えないものは対策としての効果がありません。脳を直接冷やすことはできないので、実際には血液の温度を下げる(動脈を冷やす)ことができるかが重要になってきます。体表で「涼しくなった」と錯覚させているだけのもの(メントール入りの冷感スプレーやクリームなど)を使うと、冷えたと勘違いした皮膚や脳は体内の熱を汗と共に体外に放出して熱を下げるという指令を出さなくなります。その結果、体温は上昇して熱中症にかかりやすくなります。

 夏本番はこれからです。熱中症に対処する方法を正しく把握し、気を付けていきましょう。

副園長:佐藤 毅佳