親御さんから初めて離れる時に「行きたくない」と言うのは必ず通る道です。その理由は親御さんから離れて不安という気持ちが一番です。今までずっと一緒にいたのに突然離されたら不安になって当然です。この次に、家なら自分でやらなくても誰かが生活環境を整えてくれるから楽だという考えも持っています。食事もトイレも片付けも、娯楽さえ(例えば動画視聴)も動かずにやってもらえる環境にいたらなおさらです。
こうした環境から何の働きかけもなく子ども自身から、親御さんから離れて未知の場所(幼稚園など)に行くと言い出すことはありえません。なぜかといえば前述の安心で楽な環境から不安で不便な環境に自分から行くと言い出すわけがないからです。不安を解消するためには、一時的に親御さんから離れても必ず帰れるということを繰り返し経験するしかありません。そのため、まったく泣かずに登園するまでに長い場合は一か月程度の時間がかかります。繰り返し登園し遊んだ後に、必ず親御さんのもとへ帰れることが理解できた時に泣かずに来られるようになります。逆に、最初に「行きたくない」と言っているからと休ませていると登園できなくなってしまいます。
躊躇してしまう要因の一つとして「子どもの気持ちを尊重しよう」という言葉が頭をよぎるかと思います。この具体的な話は過去の子育てだよりを参照して下さい。今回の場合は帰宅後の対応になりますが、まず「行きたくなかったんだね」と子どもの気持ちを受け入れてあげる。次に「嫌だったかもしれないけど頑張って何をしてきたの?」と聞いてあげ、その内容を大いに認めてあげる。こうすることで行きたくない気持ちに共感する=尊重することになり、何をしたか聞くことで自信に繋がり「行ってもいいかも」という気持ちを育てます。
泣く我が子を見るのはつらいこととは思いますが教諭には毎年見慣れた光景であり、そこから自立を促す方法も知っています。施設との信頼関係もできておらず不安もあるかと思いますが、互いに連絡を取り合い子どもが安心できる環境を整えていきましょう。
副園長:佐藤 毅佳