順位をつけないかけっこが子どもをダメにする!(2月号)

 「競争」は子どもの成長に不可欠です。近年の日本はかけっこで順位をつけないというように子どもから競争を遠ざける傾向もありますが、子どもから競争を避けてはいけません。子どもから競争を奪ってしまうと「目標に向かって頑張る」という自主的な意欲が育ちません。また成功体験を通して「自信」を大きくすることができなくなります。失敗や敗北をバネにして折れずに再挑戦できる心を育てるチャンスを奪っているのです。

 そのためには負けを認められることが大切です。負の感情をいつまでも引きずらずに前に進むための第一歩が「負けを認める」ことなのです。負の感情を認めることで自分の気持ちが一度リセットでき、ストレスのない状況で冷静な判断と落ち着いた行動ができるようになります。しかし、子どもにとって負けを認めるのはなかなか難しいです。そんなときは、親が共感してあげましょう。親が「悔しいね」と共感するだけで子どもは負けてしまっても「自分の持っている感情は間違っていない」「自分の経験は間違っていない」と自信をつけられます。逆に良くない声かけは、1番でなければ価値がないことだと子どもに思わせたり負けることを悪のように言ったりすると、負けを避けるようになり受け入れられない気持ちになってしまいます。

 また、大阪大学大学院経済学研究科教授の大竹文雄氏の研究で、反競争的教育を受けた子どもは「能力は誰しも平等で、努力すれば等しく向上できる」と思い、能力に劣った人がいると努力を怠ったからと断定し困っている人がいても助けてあげない傾向があり、非協働的・攻撃的な大人になりやすいという結果になったそうです。

 負ける悔しさや克服する大変さを、身をもって知るからこそ人を思いやることのできる人間力が育まれるのだとすると楽しいこともつらいことも含めた多様な体験こそが、子どもの将来のために何よりも必要なものなのではないでしょうか。

副園長:佐藤