3歳までに子どもを預けることはいいことなのか
早期保育施設に通う場合と家庭で育てる場合の、コミュニケーション、全身運動など、計5分野で遅れを見つけ出す検査を東北大などのチームが実施したところ、早期に預けても発達に遅れはないので安心して預けてほしいと結論付けたという記事を目にしました。これは当然の結論だと思います。調査項目の着眼点が「遅れ」つまり「できるようになること(技術の習得)」であれば、子ども相手のノウハウを持ったプロが早い段階から接すればできるようになるのは当然です。この検査で触れていない重大な問題として愛着の形成が判断の基準に含まれていない点です。愛着については以前の子育てだよりでお話したことがありますし、注意すべきこととして古くからのデータで検証されています。こうしたことから、早期に子どもを預けることへの是非には条件が重要といえます。
①一般的水準を満たす施設に預ける。子どもの帰宅後に目を合わせての親子の会話や触れ合いが少なく動画(テレビ、youtube)ばかりを見せている。
②一般的水準を満たす施設に預ける。子どもの帰宅後には目を合わせ、触れ合いながらその日の様子を聞いたり一緒に遊んだりする。
③家庭で育児をするが、目を合わせての親子の会話や触れ合いが基本的に少なく、動画を見せて一日を過ごす。
④家庭で育児をし、体を動かしたり会話を楽しんだりして触れ合いながら、片付けや身の回りの用意を自分でできるように接する。
このように、いくつかパターンが考えられます。①②④は問題なく技術を習得できるでしょうが、技術が習得できても①では目に見えない愛着の形成に疑問が残ります。施設に早い段階で預けても子どもが家にいる時の触れ合いを大事にしていれば将来にわたって問題ないでしょうし(②のパターン)、家庭で育児をしていても動画ばかり見せて触れ合いがないようならば良好な発達は望めません(③のパターン)。つまり重要なことは預けることの是非ではなく子どもと接する密度といえます。
これらをふまえ、子どもの成長を考えた上で実現可能な生活スタイルを選択していきましょう。
副園長:佐藤 毅佳