嫌な事から逃げてもいいと言われ始めたのは子どもや若者の自殺が問題として取り上げられてからのことで、いじめやパワハラレベルの強制からは耐えずに逃げてもいいという話でした。これがいつの間にか逃げてもいい「嫌な事」が拡大解釈されています。その結果、些細なことでも取り組む前に諦めるようになってしまっています。
子どもにとって嫌いな給食がでる、嫌いな運動がある、苦手な取り組みがある、これらも全部「嫌な事」です。やったことがなくてできるか不安だから嫌、一度失敗したことだから嫌、などと嫌な理由を探せばいくらでもでてきます。こうしたことすべてに嫌ならやらなくていいと言ってしまうと、困難に直面した時に諦めず挑戦する能力の獲得機会を奪うことになります。そうしないためには「嫌」という気持ちに子どもが自分で向き合えるようにサポートすると良いです。具体的には、子どもが「嫌だからやらない」と言い始めた時に「何が(どこが)嫌なの?」と声をかけます。次に子どもが気になっているポイントが具体的に分かったら
・より長期的に捉えてみるよう話す
・より広い視野で捉えるよう話す
・他の方法が沢山あることをわかるように話す
・子どもの情報不足を補う
・高すぎる理想を現実とすり合わせるサポートをする
・0か100かではなく、既にOKな部分もあることに気づかせる
このように、いろんな方法がることを提示してあげて下さい。自身で考え選択することが大切ですから大人が答えを伝えてはいけません。やがて「嫌だから逃げる」という行動パターン以外にも自分にはできることがたくさんあると気づけば、子どもも徐々に変わっていきます。
ただし、こうした働きかけには根気が必要で、時間もかかります。生きていく中で嫌な事はたくさんあります。そのすべてを逃げるわけにはいかない以上、自身で対処できるように根気強く働きかけていきましょう。
(副園長:佐藤 毅佳)