知ってほしい子どもの「愛着」(8月号)

 子どもに関わる言葉で「愛着」というものがあります。アタッチメントとも言い「情緒的な絆」を意味し、主に乳幼児期の子どもと母親をはじめとする養育者との間で築かれる心理的な結びつきのことです。これに関連する三歳児神話という言葉を知っていますか?子どもが健やかに成長するためには三歳までに少なくとも一人の養育者との愛着関係(絆)が必要と唱え、これが「愛着理論」として広まりました。この中で唱えられた「母性的」養育という言葉が強調され「三歳まで母親が育てなくてはならない」という三歳児神話になったようですが近年では色々な研究から否定されました。

 しかし、これを否定できるのは「一人の養育者との愛着関係ができていた」場合と、どの研究でも言われています。この一人の養育者というのが母親でなくても、父親や祖父母、幼稚園の先生でもかまいません。愛着関係の形成には、ただ日常を送ればいいわけではありません。食事や着替え、排泄に入眠、日々の遊びを楽しく、自信を持って行えるように関わることが必要です。

 不適切な環境で成長した場合、様々な問題が起きます。列挙すると情緒面では、傷つきやすい・怒りを感じると建設的な話し合いができない・過去にとらわれがち、過剰反応・0か100かで捉えてしまう・意地っ張り。対人関係では、親などの養育者に対して敵意や恨みを持つ、または過度に従順になり親の顔をうかがう・親の期待に応えられない自分をひどく責める・人とほどよい距離がとれない・恋人や配偶者、自身の子どもをどう愛すればいいかわからない、といったことがみられます。

また、大人になってからも、アイデンティティが確立できない・キャリア選択がうまくできず時間をかけた割にわずかな見聞や情報で決めてしまう・自分の選択に対する満足度が低い、といった傾向になります。子どものより良い成長のためにアタッチメントを大切にしましょう。

副園長:佐藤 毅佳